Marshall ARTIST 30 Model 3203

30W ハイブリット・スプリットチャンネルリバーブヘッド



Model No.3203
Power : 30 Watts Hybrid Amplifier
Priamp=Transister
Poweramp=ECC83X1 EL34X2　
Channel : 2
Knob Boost : GAIN(A100K) VOLUME(B4.7K) TONE(A1M)
Knpb Normal : VOLUME(B22K) TREBL(B220K) MIDLE(A1M) BASS(B22K)
Knob Master : VOLUME(A100K) REVERB(A1M)
Input : 1
Output : SPEAKERX2 LINEOUT SEND RETURN
Revreb : 〇
Send-Return : 〇
Speaker : ×
Dimensions (W x H x D)mm：620×250×230
Weight (Kg)：11.9


Marshall ARTIST30 3203はARTIST30 4203のヘッドバージョンで、トランジスタと真空管を使った80年代唯一のハイブリッド2チャネルアンプです。

ARTIST30 は非常にポテンシャルの高いアンプで、今でも名器として紹介されており、コンボタイプの4203に搭載されたスピーカーだけでは役不足であり、マーシャル専用キャビネット1965A,B(10X4)や1966A,B(12X2)、または次世代の1936(12X2)で鳴らすと籠り気味のBOOSTチャンネルが生き生きと蘇り、真空管アンプならではの抜ける音となって更なるサウンドパフォーマンスを提供してくれます。

音色を作るプリアンプ部のBOOSTチャンネルにはマーシャルのエフェクター"ガバナー"のトランジスタ回路が搭載されており、取りあえずこれ一台だけあればそこそこ使えるプラグインユーザー向けのアンプです。

フェイスパネルのサランネットは黒色が退色して麦色になった物で、1985年の中期から1987年の中期まで使われていた染料が退色することによってこのような色になりますが、レスポールのバーストのように置かれた環境で色が異なるため、同色のキャビネットを探す事は大変難しい。

このARTIST30のシリアルナンバーは U28113 であることから1986年に作られたことが解ります。


ARTIST 3203 、MOSMET 3210専用に作られたW=620mmサイズのキャビネット1965A,1965B (共に10×4 140W)。
このキャビネットは一つ8Ωのため、ARTIST 3203 のインピーダンスセレクターを4Ωに合わせ8Ω+8Ω=4Ωの三段積みとして使うことが出来る。
W=620mmサイズのキャビネットには他にも1966 (12×2)が販売されており、こちらも8Ω150Wであり統一されている。

また、統一されたのはサイズだけではなく、サウンドも統一されておりARTIST 3203は高音が控えめなアンプだが、1965キャビネットが高音をギンギン再生するためベストな組み合わせとなっている。

そのためARTIST 3203を1960や1936のキャビネットで鳴らすと音抜けが悪くこもる感じがする。　
また逆に1965キャビネットをJCM800で鳴らすとペラペラで耳に痛いサウンドとなってしまうため、ARTIST 3203は1965キャビで鳴らす事を強くお勧めしたい。

マーシャルのコンボとヘッドはキャビネットの取り付け位置が逆さにセットされるため、左右のレイアウトも反対となる。


バックパネルは今の時代と比較すると非常にさびしく、左からセンド・リターンジャックにラインアウトジャック。そして、スピーカージャックは二つあるがインピーダンスの切り替えは4Ωと8Ωの二つだけで、チョークコイルトランスが有りません。
その為か、予備電源スイッチを入れただけで"ブーン"と言うハムノイズが聞こえて来ますがこれは故障ではありません。そのあとスタンバイスイッチをONにすると多少ノイズは低減され気にならなくなります。

また、パワー管にはマーシャルの定番、1本で25Wの出力を持つEL34を2本使っているが、ARTIST30 は2本で30Wの出力しか出すことが出来ない・・・どうしてだろう?。

同時期に発売されていたSTUDIO15には、バイアス調整がバルブごとに２個設けられていましたが、ARTIST3203にはなんと真空管アンプでありながらバイアス調整のトリムが付けられていません。
これは極浅にバイアス値を設定することにより、切れの良い真空管ならではのサウンドを得るためであると筆者は考えており、勝手に基準値にバイアス調整できないよう図られているためかと思われます。そのため、真空管の負荷を抑えるべくして30Wの出力しか出せない設計にしているのでは・・・。　これは、理屈ではなくサウンドを追求したマーシャルのミュージシャンとしての選択だと思われます。